あやせものづくり研究会

CROSSTALK

綾瀬市× h concept × あやせものづくり研究会

行政と、デザイナーと、製造者。
あやせものづくり研究会は、3者連携であゆみを進めてきました。
立ち上げから5年ほど経ち、これまでの苦労や思い出、今後の展望などについて
それぞれの目線から語り合いました。

MEMBER

  • Sumi

    嶋 知之

    旭工業(有) 社長

    あやせものづくり研究会の現会長。2016年のプロジェクト当初から携わる。

  • Sekiei

    佐野 則之

    (株)鎌田理化学器械製作所社長

    2018年にあやせものづくり研究会に参加。2021年にSekieiBellがMoMAに出品。

  • Tetsu

    今 寿義

    (株)ナウ産業社長

    あやせものづくり研究会初代会長。プロジェクト当初から携わる

  • Ori

    野口 裕

    (株)野口製作所社長

    2020年よりあやせものづくり研究会に参加。2021年に新ブランドOriを発表。

  • 綾瀬市

    古塩 政由

    綾瀬市長

    綾瀬ブランド新商品開発支援事業として、BtoC新商品の開発に取り組む市内中小企業を支援。

  • h concept

    名児耶 秀美

    アッシュコンセプト(株) 代表

    綾瀬市の勉強会で講師を務めた後、あやせものづくり研究会のデザインプロデュースを行う。

用意された神輿に乗るのではなく、
能動的な商品開発である強さ

古塩

綾瀬は畑ばかりにも見えるのですが、実は工業のまち、ものづくりのまちでもあります。350ほどの事業所と技術が集積したまちですが、まだイメージが広く持たれていないような気がしています。

名児耶

⼀番最初に出会った頃は、私も申し訳ないのですが東京・足立区の綾瀬と間違えていました。工業団地が4つあると聞いて、オリジナルの開発ではなく、応援団(下請け)が多い中で、技術があるんだ、という発見が最初の印象です。

私は綾瀬市民でもありますが、最近は高速はインターができて乗れるようにはなったんですけど駅がないとか、飛行場があって、新幹線も通ってるのにとか、「何もない街」って、そういう印象が強い。でも、何もないからこそできることがあるんじゃないかと思っています。頑張っている人っていっぱいいて、何かやれる方法や場所を市が用意してくれて、今それがどんどん集結し出しているのを感じます。そういった点で、この街を楽しみなまちだと思っていますね。

名児耶

当社は、いろんな産地のものづくりの応援をしていますが、ありがちなのが、行政が動くと、「そのお神輿に乗ればいいや」というケース。綾瀬でこういった取り組みを始めるときに、「他力本願の人と仕事をしても良いものはできない。主人公が本気になって動き、⼀緒に悩みましょう」と話しました。初めてのことはどうしてもわからないことだらけで、でも仲間と⼀緒に悩んで、⼀緒に解決して、自分の脚で耐えていけるような会を描きました。

古塩

以前から市内各社で、BtoCの取り組みはありました。しかし、横の繋がりがなく、お互いが何をしているかもわからない。これだけ工業団地があって、工場があるのに「ものづくりのまち」と思われていなかったことが歯痒くて、行政としてはその技術やものを生かしたことをやりたいと思っていたが、思いだけでどうすれば良いかがわかりませんでした。

別世界のようなデザインの力が、
特徴や魅力を引き出してくれた

2015年の市の勉強会がこの会の起源になりますが、当時私は社長になったばかりで、「何かしなくちゃ」と思っていました。社長になった欲もあって、BtoCはそのひとつ。いろんな見知を広げることになりました。

自分はその前からバーベキュープレートを独自で作っていて、良いものと思っていたけどさっぱり売れない。売れる方法を教えてもらえるかなって思って、仲間になりました。

佐野

当社は旭工業さんと繋がりがあって、お誘いいただきました。ガラスだから、何か⼀般の方向けにできないかと思っていたものの、石英ガラスは高価だから、普通の人にコップ1つが数万円って言っても売れないだろうと断念していました。
アッシュさんに、特徴を見出し、デザインでも魅力を引き出してもらえたと思っています。

野口

私は本業での展示会でこの会を知って、加⼊しました。形にするのは得意だけど、売り方も分からないし、それが良いものかどうかが分からない。でも⼀緒にやりたいと思ったし、名児耶さんが工場を見て「これ面白いね」って言ってくれて、なんだか嬉しくなりました。初めてOriとして展示会に出させてもらって、すごくワクワクしましたよ。お客様にも、当たり前と思っていたことを「すごい」って言ってもらえたし、社内でも認知され始めて、盛り上がりを感じています。

古塩

研究会の商品を見たときはびっくりしました。技術だけじゃない、デザインやコンセプトのしっかりした商品が並んでいて、全然違う!と感動しましたね。これまで何度も綾瀬の優れた企業が自社商品に取り組む姿や熱意をみてきましたが、やっぱり、売れるにはコンセプトやデザインが必要だと感じました。社長たちがどんなに頑張ってもその部分が弱い(笑

名児耶

本当にみなさんは素晴らしい技術を持っていて、だけど、残念なことに⼀部の業界の人にしか知られていなかった。「顔」のなかった会社に、自社オリジナル商品という顔を作ったんです。いつも以上に、悩んで、考えて、作るようになった。そうしたら、だんだんデザイナー以上に意見を言えるようになりましたよね。

デザイナーさんは、本当に共通言語のない別世界の人のようでした。値段の出し方も違うし、パンフレットのこだわり方も、展示会に立つ服装も、全部違う。展示会に、「作業着もダメ、スーツもダメ」って言われた時はどうしようかと思いましたよ。定例会議の後に飲み会を開くお願いをして、理解を深めてお互いの溝を埋めていきました。あと、足りなかったのが商品の優れている点を示す数値やデータ。そこで助けてくれたのが行政で、大学ともスムーズに連携できました。3者の強みを取り合わせてでき、1+1+1が3ではなく4とか5になれたと思います。

当たり前の技術が「すごい!」と称賛され、
作り手や地元民のモチベーションや誇りに繋がる

古塩

市としては、ノウハウがないところにスペシャリストが関わってくれる強みもあります。「あやせ」という名前をつけてブランドができることで、市民にも「綾瀬にはこんなものがある」という誇りというか昂りが出てきます。我々ができるのはそういう考えと場を設けて、少しの補助を出せる。うまくまとまってこの研究会ができたし、相乗効果が生み出せたと思います。

名児耶

相乗効果って良いですよね。嶋さんも「任せているんじゃだめだ、自分たちで行動しなきゃ」って変化されていましたし、大学などの連携も、町工場でもなくデザイン会社でもなく、行政が関わることで強い動きができた。行政が関わっていないデザインプロデュースと比較して、商品を作るプロセスをしっかりとれたのは行政の⽀援があったからだと思います。研究して考えて、しっかり作る。そうすることで、ものづくりの力がすごくついたと思っています。

最初は「言われた通りにやれば売れる」って思っていたんですが、自発的に取り組もうと考え方が変わりました。
社内も、最初は僕⼀人でやっていたので、なかなか社員の理解を得ませんでしたが、徐々に社員から「こうした方がいい」などの声も上がるようになりました。

名児耶

インナーブランディングという言葉があって、行政でもシビックプライドという言葉がありますが、会社のみんながプライドをもつ、会社内のインナーブランディングもすごく重要なんですよね。

古塩

「お父さんの会社何作ってるの?」って子どもに聞かれても、本業の製品は説明しづらいですよね。でも⼀般向けBtoC製品なら、イメージしやすい。

家族も、綾瀬の人たちも、誇りに思ってもらえる商品を作れたら良いですよね。

佐野

MoMA出品でも同じようなことを感じました。みんなから「おめでとう」って言われて、その時は社内でもまだすごさがわかっていなかったから「あ、そう」ってくらいで、家族の方が喜んでくれてましたよ。(笑)先日採用した人はSekieiBellを知っていて、「これに関わりたい」って話してくれたんですよ。

全員

え~!すごい!

佐野

普段の製品は研究所とか半導体とか、人の目に触れないようなものですから、Sekieiのおかげでイメージがしやすくなり、銀行にも説明しやすくなりましたよ。笑

野口

うちはまだこれからですが、小売店に置いてもらうなど機会に恵まれて、流通してくれれば、社内外に広がるのではと期待しています。

ナウ産業では、当初の鉄鍋がサビてしまうのが悩みだった中で、工業団地の仲間が飲み会の席で「窒化すればサビないよ」って教えてくれたんです。それでTetsuシリーズの特徴である窒化した鉄鍋が誕生しました。最近はブランディングのことも意識するようになり、なぜこの⾊なのか、なぜこの形なのか、デザイナーに聞いています。少しずつですが、わかるようになってきました。

野口

当社のブランド名も、特徴的な技術から「Ori」っていうブランド名を初めてつけてもらって、個人的にはすごく気に⼊っています。初めて聞いた時に、我々では出てこなかったなって思いましたね。すごく勉強になりました。

名児耶

世界の人が「Origami(折り紙)」って知っているから、Oriの技術はすごく日本的で良いと思いました。

ともに悩み、ともに乗り越え、
相乗効果で世界にはばたくブランドへ

古塩

みなさんこれからもう⼀段階アップして、良い商品を作ってもらって綾瀬の知名度が上がると嬉しいですね。世界進出もしたし、これから我々も頑張らなきゃと思います。

名児耶

みんなで悩みながら綾瀬のことも考えながら⼀歩⼀歩進んでいくと、個々の強いブランドと、あやせものづくり研究会としてのブランド、その両方の強さが世界につながると思います。本当に志の高い人たちが集まれば、世界⼀になれると思います。まずはショップでも作りたいですね!インターもできたし!

研究会を3年前に立ち上げた時は、全然意味がわかっていなくて「個々で頑張れば良いじゃん」て内心思っていたんです。でも最近になって「会のおかげで、相乗効果って出るんだな」ってわかってきた。「あやせ」の名を背負っているから、商品の力で綾瀬の活性化や知名度アップなどにも繋げられたら良いなと思います。

全員

これからも、頑張っていきましょう!